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Report: 第29回臨床薬理阿蘇九重カンファレンス


 来る11月5日に東京にて第2回医療機器レギュラトリーサイエンス研究会が開催されます。その前に、さる8月に愛媛県にて開催されました臨床薬理阿蘇九重カンファレンスの模様を報告します。


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臨床薬理阿蘇九重カンファレンスに参加して

 さる821日より22日に愛媛県東温市にて開催されました、第29回臨床薬理
阿蘇九重カンファレンスに参加しました。


阿蘇九重1.jpg およそ60名ほどが参加され、初日は二つのテーマについて講演のあと、議論を繰り広げました。翌日は各大学での行われた臨床薬理試験や研究から得られた知見などを元に医師や薬剤師、CRCの方たちと議論を行いました。
 特に初日は、テーマが医療機器の開発であり、厚生労働省の医政局の方から日本の日本の医療機器産業は、日本の製造業の強みを生かしきれておらず、海外の機器メーカのように治療分野では、知名度が高い状況ではない。しかも、今後、高齢化が進行していく日本では、医療需要が増えて行くため、医療機器産業の需要も伸びると考えられるため、新成長戦略に入れられた背景とともに、医療機器のデバイスラグについて2020年までの達成目標も含め詳細な工程表とともに、厚生労働省の今後の取り組みや課題について講演がされました。
 引き続いて、実際に愛媛県に本拠地のあるパナソニックの医療事業部門の方より、医療機器産業の全世界の市場規模が25兆円(2005年の世界の医療機器市場44%アメリカ、欧州34%、うちドイツが10%、日本10%)に上るが、医薬品とはライフサイクルが異なること、また開発コストの問題が日本でのデバイスラグの背景にあること、今後アジア、パシフィック地域の市場成長が高くなることも含め、日本の医療機器の開発ならびに現在の課題(①医療事故の賠償など制度の問題審査の体制の問題日本のメディアを含め、社会の問題)についてお話がありました。
 愛媛大学の渡部祐司先生から、愛媛大学を中心に行われている医療機器の開発について試行錯誤を経ながらの開発研究のこれまでのお話がなされ、「低予算でも臨床からのニーズを「具体化できるシステム」が必要であり、「迅速な新規治療法開発が可能となる体制作り」も必要だが、わが国独自の(疾病構造、年齢構成)上手い治療法を創出する必要性を訴えられました。
 さらに実際のデバイスの治験については、臨床薬理センターのCRCである山崎さんからも現状について「PhaseIが実施できない状況と、機器の種類・質は実施医師の手技に影響を与える上、被験者のQOLは機器の質、医療技術者の質のそうほうから影響を受ける、そのため医師の高度な技術・熟練が必要(機器を使用する際には、介助者の立会いが必要だったりする)である点からも、実施施設が限られる」現状、さらに「試験症例記録票(CRF):ケースカードについて、臨床試験が終了しても症例記録表が依頼者から届かない、症例記録票は届いたが、記載方法が決まらない、症例記録票の改定(提出しないうちに)がある」といった、現状の改善がまだまだ必要であることが報告がされました。
 その後の総合討論では参加者からは、現在の薬事法の規制とデバイスの開発の齟齬も含め、熱心な議論がありました。

 また後半のアカデミックCROの現状と今後についてはPMDAの立石先生から「わが国の新薬開発における問題点」からドラッグラグの現状やこれまで規制当局と医療関係者の取り組みで、国際共同治験が増えている現状と、国際共同治験の中心が従来のがん領域から循環器領域や代謝系へと移っていることが示され、平成15年より行われてきた治験活性化計画などの進捗、ネットワーク化のメリットを受けられるようになった一方、治験全体に占める大学病院のシェアが低下している現状が示されました。
 これとほぼ同様に海外でも治験のコストのためアメリカ国内から国外への流出に伴い、経済的にマイナスとなっている現状もあわせて、今後の治験実施施設の2極化とともに、日本の大学病院における治験の未来のあり方として、特色のあるAROを目指す方向性や、創薬型バイオベンチャーとの連携なども含め大学のアカデミックCROの活躍の可能性に言及されました。
 このあと海外の現状について、マイアミ大学について愛媛大学の野元先生より、 飯島肇先生より韓国の現状、そしてライデン大学については内田先生から報告があり、海外と日本について今後の大学を中心とした臨床治験のあり方について意見が交換されました。
 このあと、懇親会では、初日は登壇されなかった大学の研究者の方とも意見交換がされ、非常に収穫がありました。
 翌日は一般演題として若手の大学院生の先生方の研究や、他の先生がたの事例も含め発表と質疑応答がなされ、最後まで楽しく参加しました。
 最後に次回は記念すべき第30回臨床薬理阿蘇九重カンファレンスが福岡県久山町で7月に開催されることが発表され閉会となりました。

http://aso29.m.ehime-u.ac.jp/program.html

1日目 821日(土) 13時~1730
【セッション1】医療機器の開発について
講演1:厚生労働省医政局経済課医療機器政策室 課長補佐 高山 研 
講演2:パナソニック四国エレクトロニクス(株)取締役  岡崎 之則  
講演3:愛媛大学病院 消化管・腫瘍外科学教授      渡部祐司     
               臨床薬理センター     山崎知恵子

【セッション2】アカデミックCROの現状と今後
基調講演:医薬品医療機器総合機構 立石智則 
海外の紹介:
マイアミ大学について
 愛媛大学大学院病態治療内科教授    野元正弘
韓国の状況について
 大分大学医学部臨床薬理学教授     大橋京一
 北里大学臨床薬理研究所副所長     飯島肇
ライデン大学について
 昭和大学病院臨床試験支援センター長  内田英二

パネルディスカッション

2日目 822日(日) 930分~11

■以前の参加記録はこちらです。
創薬育薬サマーコース体験記
https://japhmed.jp/archive/news/post_10.html

 

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<ご案内>

第2回医療機器レギュラトリーサイエンス研究会

http://staff.aist.go.jp/yamane.t/RS/index.htm

開催日時:2010115日(金) 13:20-18:00

会場:(独)産業技術総合研究所 臨海副都心センター  別館11階会議室1

    〒135-0064東京都江東区青海2-4-7(ゆりかもめテレコムセンター前)

http://www.aist.go.jp/aist_j/guidemap/tokyo_waterfront/tokyo_waterfront_map_main.html

 お申し込みは各自リンクを参照の上、お申し込みください。日本製薬医学会事務局

では受け付けておりません。

 

 



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