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記事紹介:製薬企業における医師の仕事とは?-2

 製薬医学に生きる医師 All About Pharmaceutical Medicine

 第2回目として2010年9月号に、日本製薬医学会の西馬先生より「製薬企業における医師の仕事とは?(安全性編)」と題して掲載されましたのでご紹介いたします。 今後は、毎月、日本製薬医学会に所属する会員を中心として連載予定です。

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西馬信一(日本製薬医学会監修)

前回は製薬企業で医師が行っている仕事の概要を説明しました。今回は現在私が従事している、安全性を担当する医師の仕事を紹介します。

 

■安全性担当医師の仕事

 医薬品の安全1生業務は、情報を収集するところから始まります。収集の範囲は企業の医薬情報窓ロヘの問い合わせ、学会・文献情報、MRを通じた先生方からの情報提供などがあります。これらのルートで提供された情報は企業の中で評価し、薬事法に従って医薬品医療機器総合機構(PMDA)に報告することになります。

 一方で、報告された有害事象は英訳され、日本を含む全世界で報告された有害事象は各企業固有のデータベースに集約されます。これらの有害事象について、添付文書からの予測性・重篤性の判断、有害事象に対する企業意見の作成などは安全性担当の社内医師の重要な仕事の1つになっています。これらのデータベースを用いて、特定の有害事象が増えていないかをグローバルレベルと日本のレベルで定期的に確認し、新たな試験結果や文献情報を加味しながら総合的な評価を行います。評価の結果、新たなリスクであると判定されれば、Company Core DataSheet(CCDS― 全世界の添付文書の元になる情報をまとめたもの)を変更し、安全確保措置として日本の添付文書も変更することになります。

 また情報が不十分な場合は、報告医の先生にご協力いただき、より詳細な情報を入手します。また疫学的手法を用いてリスク評価を行うこともあります。外資系企業の安全性担当医師の場合は、これらの過程を通じて欧米本社の安全性担当医師と緊密に連携をとり、例えばCCDSの情報が更新された場合は、日本の規制要件と医療環境を考慮して、それをいかに日本の添付文書に反映するかが重要になります。

 

■医師としての貢献

 ここで生きてくるのが臨床医としての知識や経験であり、添付文書の変更で診療現場にどのようなことが起こるのか、考えられる有効な安全対策は何であるかを提案し、社内のメンバーや規制当局に理解してもらう力が期待されます。また欧米との仕事が多いため、英語でのコミュニケーション能力が必要となります。さらに近年では、臨床開発の段階から市販後の安全対策を考慮する傾向が強まり、Safety Risk Management Plan(SRMP― 医薬品の安全性リスク管理計画)を立案することが多くなっています。

 このSRMPの立案では安全性担当医師がリーダーとして中心的な役割を担うことになります。また、臨床試験、申請、承認といつた重要な臨床開発の仕事においても役割や責任が増加しつつあり、多忙ではあるが非常にやりがいのある仕事になりつつあります。また安全生部門では、医師が部門の責任者に任命されることも多くなってきています。

  「製薬医学に生きる医師 All About Pharmaceutical Medicineは日本本製薬医学会による監修にてじほう社の月刊紙「Japan Medicine MONTHLY」にて連載中。

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