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記事紹介:第3回製薬医学セミナー、コンパッショネート・ユース&安全性情報

 7月24日に都内で開催された第3回製薬医学セミナーについて、日刊薬業にて報道されました。

東大大学院・寺岡氏  CU制度の国内導入へ具体策提言

IMS・古川氏  「安全性情報」 繰り返し情報提供が必要

 

 上記につきまして、じほう社より転載許可をいただきましたので掲載します。あわせて当日の資料は日本製薬医学会の会員専用コーナーに掲載されました。


 なお、次回の第4回製薬医学セミナーは11月27日に開催されます。
会場:ホテルアジア会館(午後12時半~午後6時30分)で行われる予定です。

1)「日本内科学会利益相反ガイドラインについて」
講師:曽根三郎 (徳島大学)

2)「英国の薬局事情にみる医薬経済」(仮題)
講師:葛西美恵先生 (エーザイ社)

3)「PMDAの安全対策におけるイニシアチブ」(仮題)
講師:依田紀彦先生(PMDA)

↓申し込み画面
http://member.japhmed.jp/schedule/index.asp?patten_cd=28&page_no=15

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東大大学院・寺岡氏  CU制度の国内導入へ具体策提言

日刊薬業 2010/7/27

 

 東京大大学院・薬学系研究科医薬政策学の寺岡章雄氏は24日、日本製薬医学会主催のセミナーで講演し、重篤な疾患でほかに代替する治療法がない患者に対し、未承認薬の製造・輸入・販売を限定的に認める「コンパッショネート・ユース」(CU制度)の国内導入に向け、7つの観点からなる具体策の提言を行った。

 寺岡氏は、医薬品の販売制度そのものが、安全確保を主体として国の制度として成り立っており、CU制度も国(厚生労働省)の制度であることが重要と強調。提言では、国は、ほかに治療手段がなく、命を脅かされている患者のアクセスの保証に深くかかわるものとし、同時に「安全管理・患者保護」「臨床試験遂行」を揺るがすような、過度の(無理な)アクセス要求は退けるなど、CU制度の適切な運営・維持に注力すると明記。法的な整備を行う必要性にも言及している。

 対象とする未承認薬については、外国からの輸入および国内で開発中の品目へのアクセスの両方を扱う制度とし、輸入する場合、取り扱い業者を資格制にすべきとした。国内で開発段階にある品目については、原則として臨床第3相試験段階のものに限った。寺岡氏は「治療法のない疾患に期待される新薬は新規性が高いものだけに、審査期間の短縮はリスクを伴う。販売承認は慎重に行い、承認まで待てない場合、CU制度下でのアクセスを認めるのが合理的」と説明した。

 CU制度は、人道的な観点からの例外的な措置で、本当にCU制度を必要とする患者への公正なものでなければならないとの立場から、寺岡氏は、他の治療選択肢を試したかどうか、厳密に確認することが重要と強調。またCU制度は、医師の処方せんのもとで行い、医師が薬剤部を通じて申請し、国の承認を取得する必要があるとした。

 患者負担については、有償・無償両方のケースを想定した制度とし、製薬企業が未承認薬を有償にする場合、国の承認が必要となるようにすべきと説明。国は有償とすることで臨床試験を阻害しないよう、試験計画を厳しく確認すべきとした。また患者負担軽減のため、欧州のように保険を活用すべきなどとした。

 副作用への対応については、医師・薬剤師に有害事象の報告を義務付けるほか、何らかの健康被害救済システムを確立する必要性があると指摘。また将来的には、安全性データが承認申請に用いられる方向を目指すべきとした。

 講演後、聴衆から質問が相次いだ。「承認申請中の品目をCU制度に用い、副作用が起きた場合、承認審査に影響しないか不安」との声に対しては、寺岡氏は「企業がそういう懸念を持つのは当然。米FDA(食品医薬品局)は企業に対し、ペナルティーがいくことはないと呼び掛けている」と紹介。

 また「EUはガイドラインで、どういう患者ならメリットが得られるのか、どういう患者は避けた方がいいか、そういう情報を明らかにすると述べている」と説明した。一方、「ある程度、海外で有効性、安全性が確立した未承認薬と、有効性、安全性を検証中の未承認薬は、区別して基準を設けるべきでは」との質問には、寺岡氏は「私もそう思う」と応じた。

 

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IMS・古川氏  「安全性情報」 繰り返し情報提供が必要

日刊薬業 2010/7/27

 

 アイ・エム・エス・ジャパンのマネジメントコンサルティング シニア プリンシパルの古川綾氏は24日、日本製薬医学会主催のセミナーで講演し、医師に医薬品の安全性情報を提供することの重要性を強調する一方、より効果的に安全性情報を提供するためには、繰り返し情報提供を行うことや、MR以外の情報提供方法の充実を図ることなどが必要と指摘した。

 古川氏は、全国の医師約1500人を対象に、2007112月にかけて実施した調査など、複数の調査結果を基に解説。その中で、患者に副作用が発生した時(または疑われる時)、ほとんどの医師が医薬品の安全性情報を必要とするにもかかわらず、「必要な情報を十分に入手できた」と答えたのは、4割弱だったと紹介した。

 また「有効性/効果」「安全性/副作用」の情報を、それぞれ単独で受け取るより、両方同時に受け取る方が、医師の処方意向を高めるにもかかわらず、医師に「MRから受け取った情報」の内容を尋ねると、27%が「有効性/効果」と回答したのに対し、「安全性/副作用」を挙げたのは8%にとどまったとした。

 一方、古川氏は、安全性情報を入手した後の安心度が高まるほど、医師の処方意欲が向上すると説明。安心度を高める要素については、MRによる情報提供のほか、製薬企業の講演会、製薬企業の相談窓口、薬剤師の情報提供などを挙げた。

 さらに「『こういう患者には、重篤な副作用が現れやすい』『こういう兆候が現れると注意しなければいけない』という情報を受け取れれば、先生はその薬剤への安心度を高めるのではないか」と述べ、市販後の安全性情報などを提供することが、医師の不安解消につながるとの見方を示した。

 医師がMRやインターネットを通じて入手している情報で最も多かったのは、「副作用の発現率」だったが、古川氏は、副作用への対応など安全確保のアクションにつなげるためには、発現率の情報と併せて「具体的な副作用の初期症状・モニタリング方法」といった情報を届けることが重要と指摘。情報の入手経路については、MR経由で情報を入手する方が、インターネット経由よりも高い安心度が得られる傾向にあったが、「地域で影響力を持つ医師や専門医の症例経験」「安全性の他剤比較」「重篤性」については、インターネット経由でもMR経由と同じぐらいの安心度が得られていたとした。

 こうした点を踏まえ、古川氏は、医師にどのような行動をとってほしいのか、イメージした上で情報提供計画を綿密に練ることが必要と説明。理解を深めてもらうため、繰り返し情報提供を行うことや、相談窓口などのサポート体制の整備、情報提供後の効果を検証するための定期的なモニタリングに取り組む必要性にも言及した。また「MRのリソースは限られている」とし、薬剤師、(医師から医師への)講演会、インターネットを通じた情報提供の充実を図るべきとした。 

 (じほう社日刊薬業より転載許可済み)



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