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記事紹介:PMDAでの安全対策における臨床医の役割~治験副作用報告

製薬医学に生きる医師 All About Pharmaceutical Medicine 第7回目がJapan Medicine MONTHLY 2011年2月号に、谷本先生の執筆による「PMDAでの安全対策における臨床医の役割~治験副作用報告」が掲載されましたのでご紹介いたします。

 

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製薬医学に生きる医師

 ALL About Pharmaceutical Medicine 連載 第7回

 

『PMDAでの安全対策における臨床医の役割~治験副作用報告』

谷本哲也(医薬品医療機器総合機構生物系審査第一部)

 

 

安全対策の重視


 PMDAでは職員の増員とともに、医薬品医療機器の製造販売後の安全対策をより重要視する方向性が打ち出され、審査部門のみならず安全部門にも臨床医出身者が関わるようになり始めた。安全対策において臨床担当が果たす役割は、今後さらに多岐に広がると考えられるが、本稿では審査センター時代から臨床担当が中心となって関わつてきた治験副作用報告の取り扱いに焦点を絞って解説する。なお、本稿はPMDAの公式見解ではなく文責は筆者個人にあること、内容は原稿執筆時点のものであり、今後、見直しが図られていることに留意をお願いしたい。

 

治験副作用の症例報告

 治験実施計画書立案段階には未知の副作用や、既知であっても死亡につながる副作用が生じ、治験実施中に計画の見直し等が必要になる場合がある。このため、特に被験者保護の観点から、治験届提出から承認または当該成分の開発中止届を提出するまでの期間に発生し、担当医または治験依頼者(企業)のいずれかが因果関係を否定できないと判定した副作用は報告の義務が課せられている。対応の遅れを防ぐため、未知の副作用で死亡。死亡の恐れの事象は7日以内、その他の重篤の事象は15日以内、既知の副作用で死亡・死亡の恐れの事象は15日以内の行政当局への報告および治験参加施設への情報提供が求められている。なお、副作用の既知・未知の判断は治験薬概要書における記載の有無で治験依頼者により判断される。
 具体的な症例報告の内容には、原病名。年齢・副作用名・使用薬剤・臨床経過・副作用の発現状況・発現後の経過・担当医・企業の意見、今後の対応等が記載されており、臨床医出身の職員も一員として加わつている各審査チームではその道切性について確認を行つている。速報のため情報量が不十分で、臨床経過や検査値等の追加情報、道切な副作用名ヘの変更などの照会・指示を行う場合もある。

 特に重要視している点は、臨床経過における被験者に対する対応、すなわち、治験薬の中止・継続の判断や被験者の安全性を確保するための医学的な対応の適切性等であり、担当医および報告企業の副作用に対する意見等を踏まえ、今後の治験継続に当たって、息者同意説明書や治験実施計画書の変更の必要性、場合によっては治験の一時中断、中止の必要性も含め検討している。


PMDAの医師の役割
 該当報告数は、通常1週間当たり1000件程度に上り、内訳は海外症例の報告が大多数を占め、国内症例は数10件程度、第2報以降の追加報告も含まれるため、特に対応の判断が急がれる国内症例第1報のみに限ると10~ 20件程度の報告数となる。報告の対応は審査マネジメント部が窓口となり、各審査チームヘの情報提供や追加照会の必要性の有無などについて処理が行われている。
 毎週1回開催している治験副作用報告検討会では、各審査担当チームの臨床医出身の職員が代表として集まり、部横断的に国内症例の第1報を中心に検討を行っている。以上のような治験副作用に関する臨床的判断や封応は、医師の知識・経験を生かし、臨床医出身の職員の役割が特に求められる業務であろう。
 

 



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